【2章 実践編】節約

保険を解約する時の考え方!払い済み保険は正しい選択なのか?

ドル建ての生命保険や養老保険、学資保険等、貯蓄性のある保険を解約しようと思った時、満期を迎えなていないと保険料として払い込んだ額(積立していた額)よりも少ない返戻金しか戻ってこず、もったいないなーと思いませんか?

出来る限り損はしたくないので、払い済み保険への変更を検討する方がいらっしゃいますが、これは正しい選択なのでしょうか?

本記事を読むことで保険の解約と払い済み保険への変更はどちらが得か?保険解約時の考え方がわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。

結論:満期まで10年以上あるなら解約、10年未満なら払い済み保険にしてしまう

まず結論からお伝えしますが、満期までの期間で解約するか、払い済み保険にするかを決めます。

満期まで10年以上あるならば解約、10年未満なら払い済み保険に変更するのが賢い選択だと言えます。

その理由について、解説していきます。

そもそも払い済み保険とは?

払い済み保険とは、保障金額が減額となる代わりにそれ以降の保険料支払いをストップできる保険制度です。

たとえば、保障額が1,000万円の終身保険を払い済み保険に変更すると、保障額が500万円に減額されるものの、保障期間はそのままに以降の保険料支払いが必要なくなります。

変更時点の解約返戻金を元手とし、それ以降の毎月の保険料負担を軽減できるので、保険料の払い込みが難しくなった時や保障内容の見直しをしたい時などに活用できる方法です。

ここまで聞くと良い方法に聞こえますが、ここからは払い済み保険のデメリットについて紹介します。

払い済み保険のデメリット

払い済み保険のデメリットは大きく2つあります。

  • 追加の払い込みはないが、結局低い利回りの保険のままなので資金拘束されている
  • 今までの補償内容よりも低品質なものとなる

さらに貯蓄性保険の前提から考え直すと、

今まで加入していた学資保険やドル建て保険などの貯蓄性保険というのは「掛け捨て保険+手数料の高いぼったくり投資信託」というイメージです。

なのでこれではもったいないので、貯蓄性の生命保険に加入していたならば『①貯蓄性保険を解約し、②掛け捨て保険に入り、③手数料の低い投資信託を自分で買う(つみたてNISA枠が余ってるなら尚良い)』ことが1番賢い選択です。

学資保険に加入していたならば『①貯蓄性保険を解約し、②一家の大黒柱が亡くなって学費が稼げない・払えない事態に備え掛け捨ての生命保険に入り、③手数料の低い投資信託を自分で買う(つみたてNISA枠が余ってるなら尚良い)』が私が考える1番賢い選択となります。

この前提を考えた場合、払い済み保険に変更するというのは、1回解約して返ってきたお金でまたボッタクリ投資信託を買うようなものなので機会損失をしてしまうのです。

機会損失とはどういうことか次のステップで詳しく説明します。

返戻金を投資運用に充てた場合、得するか損するかを考える

例えば30年で300万円積立するタイプの貯蓄性保険で、満期を迎えれば315万円受け取れるものがあったとします。

半分の15年で150万円まで自分で積み立てたのですが、今解約すると110万円しか戻ってこないです。

なので解約しようとする方は、この差額40万円がもったいないと思うんですよね。

(私もその口です。損するってのはやっぱり嫌ですよね)

だから払い済み保険というものに変更するという選択をしてしまう。そうすれば、予定通り30年が経過したら今まで積み立てていた150万円があまりダメージを受けずに返ってくるので。

ただこの考え方は本当はよくないのです。

なぜかというと、ここで110万円を受け取って、年利3%程度で15年運用できれば約170万円にできるからです。

フタを開ければ15年後に得しているのは、解約し自分で資産運用した方になります。

なので、ここで解約しないのは機会損失となるのです。

満期まであと何年あるのかが大事

先ほどの説明で、満期30年のところ15年で解約し110万円の返戻金を受け取り、年利3%で残りの15年運用できれば約170万円となるとお伝えしました。

年利3%という値はとても現実的な数値で難しいことではありませんが、時間が必要です。

資産運用というのは投資であり、元本割れするリスクがどうしてもあります。

ただ、少なくとも10年以上、願わくば15年以上投資に回すことができれば、9割以上の確率でプラス収益での資産運用が可能と言えるでしょう。

しかし、満期までの時間が10年もない場合は投資に回したとしてもマイナスで終わってしまう可能性が拭いきれないのです。

この10年、15年というのはよく知られている期間なのですが、詳しくは投資塾さんの動画がとても参考になりましたので、ご興味のある方はご覧ください。

▼【分析】積立投資で利益を出すためには最低何年が必要?▼

つまり、いくら貯蓄性保険は無駄が多いから解約しようと思っても、残りの期間が3年とか5年しかない場合、返戻金を投資に回してもマイナスで終わってしまう可能性があるのです(プラスで終える可能性ももちろんあるのですが、短い期間での運用はギャンブルに近しいのです)。

ならば、しっかりと満期を迎え満額に近い額を頂いた方が確実なので、満期までどのくらいの期間があるのかが大事となってきます。

まとめ

積立型貯蓄性の保険っていうのは、入ってしまった段階で損をするんですよね。保険は保険、投資は投資と割り切って実践できていれば金額的には損しにくいのですが。

なので、既に入ってしまったものは仕方ないですね。

満期までどのくらい期間が残っているか確認し、10年以上あるならば損切の決断を早めにしましょう。ずるずる引っ張られていくうちに、また機会損失してしまいます。

常にシミュレーションを心掛け、賢い選択ができると安全ルートが進めることと思います。