貯蓄生活を行うためには生活用、緊急用、貯蓄用の口座を分けて作っておくことが大事で、その中の緊急用口座の主たる目的は生活防衛資金を貯めておくことであると以下の記事で紹介しました。
また別の記事でも、緊急用口座の準備をしてから保険を解約する重要性について紹介しました。
生活防衛資金とは文字通り生活を守るための資金で、セーフティネットみたいなものです。
このセーフティネットである生活防衛資金を貯めずに、投資を行ったり、医療保険を解約したりしてしまうケースがあるので、この緊急用口座のメリットや重要性、必要額、生活防衛資金を貯める手順について説明していきたいと思います。
緊急用口座を作るメリット
緊急用口座に生活防衛資金を貯めておくメリットは大きく3つあります。
- 精神安定剤になる
- お金が貯まる体質になる
- 投資でも成功しやすくなる
精神安定剤になる
例えば今手元に100万円持っている人と持っていない人がいたとします。
とりあえずは何かあってもこれでしばらく生活できる額だと思います。
このまとまった額がある場合、様々な心の安定をもたらします。
- 失業しても失業保険+100万円があるから、しばらくは大丈夫
- ブラック企業の会社をいつでも辞めれる(再就職先が決まるまでは凌げる)
- 体調を崩したとしてもとりあえずは治療費も困らない
- 大きな事故で高額な治療費が発生しても、傷病手当金や休業補償、高額療養費制度等の制度があるし+100万円もあるからしばらくは大丈夫
- 家族とか大切な人に何かあったとしても、助けることができる etc…
以上のように、最低限の貯金があれば「●●できる、●●だから大丈夫」と余裕を持った行動ができるようになります。
金融広報中央委員会のデータでは貯金0円の家庭が多くあるのですが、貯金がない=選択肢が少ないですし、いざという時焦ってしまいます。やっぱり人間誰でも焦ると良くない行動をしてしまうことがあるので、このメリットは大きいです。
お金が貯まる体質になる
またお金が貯まる体質になることも生活防衛資金を貯めるメリットです。
お金が貯まる体質になる1番の理由は、必要以上の保険に入らなくてよくなることです。
必要以上の保険に入らなくて済む
医療保険や車両保険は今すぐ使うお金じゃないですし、学資保険なんてのは手数料の高いぼったくり投資信託なので、加入せずに自分で手数料の低い投資信託をやっていけばいいと思っています。
下記の記事で紹介していますが、国の公的保険が充実しているので必要な保険っていうのは火災保険、掛け捨ての生命保険(若い妻子持ちの方のみ)、自動車保険(対人対物のみ、車両保険は不要)だけで十分なんですが、不安だからと加入している保険に毎月数万円が消えているんですよね。
(平均で年間20万円以上保険にあてられているそうです)
医療や学資など用途が限られていて、かつ過剰に備えすぎた保険にお金が消えるのであれば、その分を貯めて、いざっていうときに貯金から切り崩す方が、医療にも車にも子供にも様々な事態に対応できます。
ですが、多くの人は車をローンで買ったんだけど壊れてしまったら修理費用も出せないとか、病気になったときに治療費すらないとか、何かあったときに困るので保険に入るんですよね。
なので保険に入ると、、、そしてお金が貯まりにくくなる。
お金が貯まらないから、何かあったら困るので保険に入るっていう繰り返しなんですよね。結局どんどんお金がたまりにくくなってしまいます。
保険の重要性はわかっているので全ての保険を解約しろとは言わないです。火災保険、生命保険、自動車保険(対人対物)以外は、公的保険+貯金で概ねカバーできるので、まずは生活防衛資金を貯める。そして過剰な保険は解約するっていう手順が良いです。
もちろん大病を患った時、事故にあった時の公的保険の内容把握(家庭背景毎にもらえる金額が変わりますので、いくらもらえるかのシミュレーション)しておくことも忘れずにお願いします。
詳しくは先ほど載せた記事に書いております。
無駄な買い物を減らせる
あと精神的な問題だったりするんですが無駄な買い物を減らせたりします。
今手元にお金がなくて買えないっていうのは強めの我慢が必要なんですよね。
しかし「買おうと思ったら買えるんだけど買わない」っていうのは自分で選択してるので、これはストレスが溜まりにくいです。
買おうと思ったら買える状態、行こうと思ったら行ける状態になると、意外と買わなかったり、行かなかったりするんですよね。
結局そうすることによって無駄な買い物を減らせるんです。無駄な出費を少ないストレスで減らせるということは強いです。
やっぱり我慢して我慢して生活を我慢して節約してっていうのは、どうしてもストレスになるからどっかで発散というか、爆発するんですね。
でも、生活防衛資金を貯めてこういう良い循環になることによって、無理してお金を貯めなくても、どんどんお金が貯まるんですよね。
何をするにも余裕が出てくる、貯める癖がつくってことです。
投資でも成功しやすくなる
こちらも精神安定剤の一種ですが、積立投資でコツコツ資金を増やしている際、長期目線で見ると必ず暴落が起こるのですが、その暴落時に焦らなくてよくなります。
この時に生活費全てをかけて一括投資集中していると、とても不安になってしまいます。
長期の積立投資をしていく上で、暴落というのは起こった方が資金が増えるんです。なので、本当は焦らなくていいのですが、生活防衛資金がないと心にゆとりが無くなります。
その結果、下がったタイミングで売却してしまっては目も当てられません。
以上の理由で生活防衛資金というのは必要と考えます。
生活防衛資金はいくら必要か?
生活防衛資金をいくら貯めればよいかについては、一概に言えないところがあり難しいのですが、会社員の場合は給料3か月分を貯蓄しておけば一先ずのリスクは避けられると考えます。自営業の場合は会社員に比べ手当てが薄いため倍の6か月分貯めれると安心です。
会社を辞めることになっても、失業保険+3か月分の生活費があれば再就職までにはなんとかなります。
働けないレベルの大事故にあった場合も、障害年金が期間無制限でもらえます(会社員であれば傷病手当金と言う1年6か月までは給料の2/3の額を受け取れる制度の後に障害年金がもらえます)ので、過度な心配は不要です。
障害年金の受給金額については、障害の程度、自営業か公務員か会社員か、子供の有無等によって異なりますので、日本年金機構のHPをご参照ください。
借金返済・保険解約・投資をしたい場合の優先順位は?
生活防衛資金を貯める際によくあるのが順番を間違えることです。
今までの話しを聞いていると、まずは生活防衛資金を貯めなければ!と思うかもしれません。それは間違っていないのですが、以下の順番で行動していく必要があります。
- 金利10%以上の借金の繰上返済(カードローン、消費者金融、リボ払い)
- 生活防衛資金の貯蓄
- 過剰な保険の解約
- 車のローン返済(該当する方のみ)
- 積立投資
※金利10%以上の借金が無い方は②からスタートします。
※奨学金や住宅ローン等、金利が1%程度の借金は前倒し返済しても費用対効果が得られないため、毎月決められた額の返済のみ(繰上返済はしない)で生活防衛資金の貯蓄を優先する。
①金利10%以上の借金の繰上返済(カードローン、消費者金融、リボ払い)
リボ払いとかカードローンとか消費者金融からお金を借りてるんだったら、金利が10~15%あると思うので、これは先に返していった方がいいです。
300万円借りていたら、1年で30万円も金利だけで膨れ上がることになります。金利が高い借金というのは早めに返済しなければなりません。
奨学金や住宅ローン等、金利が1%程度の借金は前倒し返済しても費用対効果が得られないため、毎月決められた額の返済のみ(繰上返済はしない)で生活防衛資金の貯蓄を優先します。
②生活防衛資金の貯蓄
リボ払い、消費者金融、カードローンの借金が0になったら生活防衛資金(給料3か月分)を貯めましょう。上述の通り、自営業者の方は会社員よりも手当てが薄いため倍の6か月分貯めてもよいかもしれません。
③過剰な保険の解約
生活防衛資金を貯めて、「公的保険+貯金」で対応できる状態になったら、過剰に加入していた保険を解約しましょう。
平均1人2万円以上保険にかけているそうなので、火災保険、生命保険(若い妻子持ちのみ)、自動車保険(車両保険は不要、自動車持ちのみ)だけに減らした場合は月5,000円程度になります。
月1.5万円/人のお金が浮いたら大分貯金スピードも上がっていくと思います。
④車のローン返済
車の所有者かつローン返済が残っている方のみですが、過剰な保険の解約で浮いたお金を車のローン返済にあてましょう。
車のローンは残債額にもよりますが、100万円残っていたとしても年間約5万円の金利を支払うことになります(カーローンはだいたい金利5~6%なので)。
元本がそこまで大きくないので急いで繰り上げ返済をして、40万円減らしたとしても年間約3万円の支払いまでにしか下がらず、頑張った返済に対しての効果が弱いため、生活防衛資金を貯めることを優先しました。
とはいえ、金利5%もやはり高いのでできる限り早めに返済していきます。
⑤積立投資
過剰な保険の解約で浮いたお金を積立投資に回しましょう。
資産を増やしたいのであれば、よほど収入が高い方でない限り資産運用は避けれない選択肢だと私は考えます。
投資は元本割れのリスクがあって不安という方も多いかもしれませんが、適切に長期・分散・積立で適切な投資を15年以上継続すれば、9割以上がプラス収益になるデータがあります。
生活防衛資金を貯めていること、本来保険で消えていたお金であったことを考えると、日本円現金への一括投資より、ドルを持ったり株を持ったり不動産を持ったりGOLDを持ったりと、分散して積立投資を検討してみるのもよいかもしれません。
まとめ
今回は緊急用口座に貯めておくべき生活防衛資金について解説しました。
最低でも給料3か月分、自営業者なら6か月分は貯めること、高金利の借金があるなら、先ずはそこから手をつけることが大切です。
防衛資金を貯めて、ゆとりある生活に近づくことができれば幸いです。
お金の貯め方については本ブログで解説していますので、ご興味のある方は0章から読み進めて下さい。