もしものために備えておく保険、とても大事だと思いますが、もしもを意識しすぎてたくさんの保険に入っていませんか?
備えるあまりに日々の家計を圧迫するようでは意味がありません。私たちが任意で入る民間保険というのは国が用意している公的保険を考慮して選ぶ必要があるのです。
本記事を読むことで、人生の三大支出の1つである保険に、必要以上に入りすぎていないか、適切なプランで申し込みをできているかという観点で見直し・節約ができます。
毎月の支出を抑えたい方、適切な保険が何か知りたい方はぜひ最後までご覧ください。
Contents
保険を見直すべき理由
本題に入る前に、必ず知っておいていただきたいことがあります。
それは保険に入る前の大前提や保険の見直しをする理由についてです。
以下の点を把握・理解したうえで保険を考えると、適切な保険の見直しができることと思います。
- 全日本国民が加入している国の保険はとても優れている
- 民間保険は営利目的であることを忘れてはいけない
- 保険の見直しは即効性があり、効果が大きい
- 支出削減はリスクヘッジにもなっている
全日本国民が加入している公的保険はとても優れている
そもそも保険に入る理由、大前提とも言えるべき理由ですが
『事故や病気など、何かあった時に自身とその家族の人生が詰んでしまわないようにすること』
ですよね?
私たち日本人はとても恵まれており、「何かあった時」は国が公的保険で面倒を見てくれます。
国民皆保険制度という、日本国民であれば全員国の保険に入りましょうという制度(会社員などが加入する健康保険、フリーランス・自営業者が加入する国民健康保険)です。
風邪ひいて病院に行ったら3割負担で済んだり、一家の大黒柱が亡くなっても遺族年金がもらえたりするあの制度です。
これがとても優れており、以下のリスクをカバーしてくれます。
- 病気や怪我
- 障害
- 死亡
- 失業
- 老後
- 介護
- 出産費用 etc…
つまり、生活できなくなるレベルのリスクは既に保証されているのです。
ただ国の保険にも上限や限界がありますので、国が補償してくれる内容だけではカバーできない部分に民間保険をかけることが大事なのです。
国の補償を確認した上で、リスクとリターン、そのリスクが起こる確率、起きた際の人生シミュレーションっていうのを自分で考えることが大切です。
なので、まずは国が補償してくれる公的保険の内容を把握しましょう。
公的保険の内容について詳しく知りたい方は、楽天生命保険がまとめている以下の記事が分かりやすかったのでご参照ください。
民間保険は営利目的であることを忘れてはいけない
またどの民間企業も営利目的があることを忘れてはいけないということです。
民間企業である保険会社も利益を出さないと、社長やその社員も給料をもらえないのです。
なので、保険会社の社員は私たちに様々なリスクを伝え、不安にさせることで保険に入るよう勧誘してきます。
もちろん会社経営は営利目的に加え、社会貢献も必要とされていますので、保険の意味を成すところは大きいのですが、それでも営利部分で、多少なりとも(割高な)手数料を搾取されているのです。
なので、民間保険に入る際には本当に必要な保険を見極め加入する必要があります。
参考:民間保険で得をしたと言う人もいるが、、
民間保険に入ってたおかげで得したと言う人も稀にいます。
民間の医療保険に入っていて、入院した際の入院費が保険で賄えた。だから民間保険に入った方が良いんだと。
しかし、一方で入院しなかった人もいます。1人あたり月5,000円の医療保険に夫婦二人で加入し、50年間無事故であった場合、
1万円(夫婦二人分)×12か月×50年間=600万円のお金が無駄になります。
50年間もあれば確かに病気や事故の一つや二つはあるかもしれません。ですが、それでも600万円という額はなかなか超えません(国の補償である高額療養費制度があるので月の上限は10万円程になります)。
ここの計算を見誤って高額なお金を払い続けるのは、家計の圧迫につながりますので、基本は国の公的保険+貯金で賄うのが一番効率が良いのです。
もしもに備える保険なのに、備えすぎるあまりに日々の家計を圧迫するようでは良い保険とは言えません。
即効性があり、効果が大きい
保険の見直しのメリットは、固定費の支出を抑えられることです。
もちろん、ただ削れば良いというわけではないのですが、三大支出と呼ばれるだけあって、支払う金額もすごく大きいんです。なので誰しもが大きい効果を確実に得られるわけです。
国民の平均的な保険料の支払いですが、1人当たり年間平均男性で22万8000円払ってるそうです。女性では17万4000円。
これは生命保険と個人年金保険を合わせた数字だけで、他の保険とかも入れるともっと払ってることになります。
月当たりだと、男性だったら最低2万円ぐらい平気で入ってるってことになりますので、
年間20万円を50年払い続けた場合、1,000万円保険のために使っていることになります。
月1万円以上払っている方は見直した方が良いと思ってきませんか?
後述する入るべき保険(合わせても5000円程度)で十分カバーできるのに、多くの人が払い過ぎだと思います。
月々の基本給を15,000円上げるのに、どれだけの時間がかかるか。
それを考えたら、即効性があって、効果も大きいと思いませんか?
支出削減はリスクヘッジにもなっている
生活支出が年間300万円の人と年間1000万円かかる人だったら、300万円かかる人の方が明らかに不安が少ないですよね?
年間300万円なら遺族年金や障害年金にちょっとした仕事をするだけで普通に生活できますし。
支出に1000万円かかるとなると、自分が働けなくなって収入源が途絶えるようなら人生も終わりですよね。
なので年間支出を下げると、有事の際のリスクヘッジにもなっていますし、その分貯金も貯まっていくので支出が抑えられれば抑えられるほど、貯めた貯金で臨機応変な対応ができるんです。
しかも固定費の削減は、少しの労力で半永久的に効果を及ぼし続けるものが多いので効果的なのです。
なので、基本は「公的保険+貯金」で良いのです。
以上、これらを踏まえ本題に入ります。
必要な保険はこれだけ
必要な民間保険というのは、国の補償のみではカバーできないようなレアケースにだけ民間保険で備えればいいということを説明してきました。
そのレアケースというのが以下です。
- 大災害に被災してしまった時
- 子供がまだ小さいのに一家の大黒柱が若くして亡くなった時(遺族年金だけでは生活が苦しいケースが多いため)
- 自動車で相手に大けがをさせてしまったり、障害が残ってしまった時(加入必須の自賠責保険だけでは足りないケースがあるため)
これらをカバーするために以下の保険に加入することをおすすめします。
- 火災保険
- 生命保険(妻子持ちのみ)
- 自動車保険(車持ちのみ・車両保険は不要)
※全て掛け捨てでかまいません(貯蓄型保険は中身がぼったくり投資信託であることが多いので)。
火災保険
火災保険はかけた保険料に対する補償内容(パフォーマンス)が良いこと、不注意や不意の事故で誰にでも起こりうることなので、加入すべきと考えます。
ただ、火災保険は家を購入した際、賃貸契約した際の業者から勧められたものをそのまま採用していませんか?火災保険はどこも似たようなものだからと。
これは非常にもったいないので見直しを行いましょう。
火災保険の保険会社や商品プランについては持ち家か賃貸かで補償内容やお得なプランが異なります。
賃貸の場合は大家が火災保険に入っていれば不要のような気もするかもしれませんが、大家への借家人賠償責任(偶然の事故で借りている部屋に損害を与えてしまったとき、部屋の持ち主である大家さんに対する損害を賠償する)に備える必要があるため必須です。
具体的には、居住費を下げる記事の中に火災保険に関する内容を紹介していますのでそちらをご確認ください。
▼持ち家の場合▼
▼賃貸の場合▼
生命保険
生命保険は遺族年金があるため不要に思われるかもしれませんが、生活費は補えても子供の学費まで考えると少し厳しいのが現状です。
20代・30代で、子供がいる方は必ず入っておくべきと考えます。また配偶者の稼ぐ能力が乏しい場合、葬儀費用+αくらいは残しておくべきと考える場合も必要に応じて入っておいて良いと思います。
大切なことは月の支出と月々もらえる遺族年金の費用を把握し、足りない場合は生命保険にも入っておくということです。
尚、生命保険はよく掛け捨て保険と貯蓄型保険がありますが、掛け捨て保険をお勧めします。掛け捨てだともったいないと思われる方もいるかもしれませんが、貯蓄型保険は掛け捨て保険+ぼったくりの投資信託といったイメージでかえって高くつくのでおすすめしません。
自動車保険
自動車保険も見直しが必要です。適切に見直すだけで年間3万~4万円、なかには10万円近く費用を抑えられることもありますので、ぜひ今入っている保険の再検討をしてください。
詳しくは以下の記事でまとめておりますが、結論のみ申し上げると「対人対物は無制限に加入、車両保険は不要、ネット型の保険会社で十分」ということです。
もちろん、同じ補償内容でも少しでも安い保険会社・保険プランを見つけるために比較も必要です。
保険料のシミュレーション
それぞれの気になる保険料ですが、上記の保険で月額の保険料を想定すると以下です。
家財保険や自動車事故の時の弁護士費用など、不安に思うところは+αしても良いですが、一人当たり1万円以上の保険料は高いと思いますので、一つの目安としてください。
【子供はおらず、車も所有していない場合】
- 火災保険のみ:2500円/月くらい
【妻子あり、車無しの場合】
- 火災保険+生命保険:3,500円/月くらい
【妻子あり、車所有の場合】
- 火災保険+生命保険+自動車保険:5,000円/月くらい
※保険料は以下のプランで想定
- 火災保険:2,500円(住まいる共済ベーシックプラン)
- 生命保険:840円(メットライフ生命・30歳・1000万円補償)
- 自動車保険:1,500円(ソニー損保、対人対物の補償は無制限、車両保険は無し)
これ以外にも、この保険は必要ではないか?こういう保険のプランなら加入してもよいのではないか?という意見もあるかと思いますので、いらない保険とその理由についても説明します。
いらない保険とその理由
火災保険、生命保険、自動車保険の3つ以外の保険はどうなのか解説していきます。
- 貯蓄型の保険
- 医療保険
- がん保険
- 個人年金保険
- ドル建て保険
- 養老保険
- 学資保険
①貯蓄型保険
中身はぼったくりの投資信託なので不要と考えます。
掛け捨ての保険+手数料の高い投資信託といったイメージです。
掛け捨ての保険に入り、手数料の低い投資信託をやる方が得できるため不要。
②医療保険
国の公的保険+貯金が一番コスパが良いため。
病気とかでお金がかかってしまうことに対しての対策として一番コスパがいいのが公的保険+貯金なんです。
病気で医療費が月に何百万かかるとしても、高額療養費制度というのがあるので、最大で月10万円ぐらいしかかからないんです。
所得にもより差があるんですが、それでもだいたい月10万円くらいです。
なので生活防衛資金として最低限の金額を貯金できていたら十分なんです。
医療費はこのぐらいで済むかもしれないけど、怪我とか病気とか働けなくなって収入が途絶えたらどうなるのか、っていうところなんですが、
社会保険の補償や商業手当金、休業補償給付あたりを調べてほしいのですが、月給のだいたい6割から8割ぐらいがカバーされます。
障害が残って働けなくなった場合も障害年金っていうのが出ますので、そういうのもまず知っておきましょう。
③がん保険
これは医療保険の一種ですよね。これもいりません。基本は医療保険の考え方と一緒です。公的保険+貯金が一番コストがいいからです。
あとがん保険については2人に1人は癌になるっていう話が有名ですが、それは数字のマジックで、高齢者になった時に2人に1人がんだっていう話ですね。
なのでご自身が若いのであれば、その言葉に惑わされて入るのは違うと思います。
④個人年金保険
中身はボッタクリの投資信託なので不要です。貯蓄型の保険と同じですね。保険には節税効果とかもあって、利回りが2%ありますとか悪くないような気がするんですけど、、、と思うかもしれませんが、適切な投資を知った方が得できます。
⑤ドル建て保険
理由は貯蓄型の保険と同じです。おまけに為替リスクまでついてくるのでおすすめできないです。
⑥養老保険
理由は貯蓄型の保険と同じです。
⑦学資保険
これもぼったくりの投資信託です。貯蓄型保険と考え方は同じです。
大黒柱が不慮の事故で亡くなってしまい子供を大学に行かせられないと思うならば、掛け捨ての生命保険でカバーすれば良いのです。
毎月の生活費はいくらか、大学にかかる費用はいくらか、旦那が亡くなった場合の収入(遺族年金や会社の福利厚生を考慮)を割り出し、いくら足りないのかを考えて保険に入ることが大切です。
ちなみに学費を貯めるのであれば2020~2023年まではジュニアNISAがおすすめです。
学資保険ではなくジュニアNISAをすすめる理由は以下記事にまとめていますので、ご興味のある方はご確認ください。
やるべき行動:自分でシミュレーションするのが面倒な方へ
大事なことは、「リスクの想定と国の補償を把握し、カバーできないものについてのみ適切な保険に入ること」
そして「リスクとリターン、そのリスクが起こる確率、起きた際の人生シミュレーションっていうのを自分で考えること」とお伝えしてきました。
ただこういうシミュレーションって少し面倒だったり、どうやってシミュレーションするのかわからないですよね?
そういう時は、保険屋さんに行ってシミュレーションしてもらうのもありです。ファイナンシャルプランナーさんがあなたの人生にかかるお金を見やすい資料にまとめてくれます!
ただよほど良い保険屋さんでない限り公的保険のこと(遺族年金がいくらもらえて~)を話してくれません。
(少なくとも私が相談した保険屋さんは、今まで4,5人くらいいましたが誰一人してくれませんでした)
まぁ不安を煽って、保険に入れさせるのが仕事ですからね。笑
なので、こちらから聞いてみて(保険屋さんなら確実に公的保険のことも知っていますので)それを踏まえた上で、掛け捨ての生命保険や火災保険に入り直せば良いのです。
自分で予算を決めておけば高い保険に入らせられる心配もないですし、適切な保険を紹介された場合はそのまま手続きしちゃえば家に帰って(ネットでの)手続きもしなくて済みますし、一石二鳥です。
大事なのは保険の比較サイト(価格ドットコム等)で相場を知っておいてから、保険屋さんと相談することです。
注意点:保険の解約は生活防衛資金を貯めてから行うこと
本記事では、公的保険の内容を把握しカバーしきれない部分を民間保険で補う旨説明してまいりました。
私が必要だと思う民間保険は火災保険、生命保険(若い妻子持ちのみ)、自動車保険(車両保険は不要、自動車持ちのみ)だけですが、みなさんが現在加入している医療保険や車両保険は『生活防衛資金を貯めてから解約する』必要があります。
というのも、何かトラブルに見舞われた際は「公的保険+貯金」で対応するのがコスパが良い、だから過剰な保険は解約せよと今までも説明してきましたが、この『+貯金』の部分(今回で言う生活防衛資金)を貯めずして保険の解約をしてしまっては、様々なケースに対応できません。
なので保険の解約を行う時は、生活防衛資金を貯めてから実践しましょう。
生活防衛資金については以下の記事でまとめていますのでご確認ください。
まとめ
本記事では、国の公的保険が優れていること、公的保険を考慮した民間保険に入ることをお伝えしてきました。
リスクが起きた際の人生シミュレーションというのを一回でもしておき、それに備えておくと漠然とした不安というのもかなり軽減されます。
まずは自分で考え、行動することが大切です。
自分でシミュレーションするのが面倒であれば、保険屋さんを利用しましょう。あれやこれやと言って、貯蓄型保険やドル建て保険なんかを勧められるかもしれませんが、中身は手数料の高いぼったくり投資信託だということを忘れずに。
相場はどのくらいか、自分に必要な保険は何かをしっかりと見極めていきましょう。
ちなみに本ブログの4章で投資信託についてはまとめていますので、手数料の高い保険屋に任せるのではなく、自分でやった方がはるかに良いです。
また、本記事を読んで、今入っている保険を解約しようと思い立った方は、払い済み保険についても知っておいた方が良いと思います。
解約については以下の記事で紹介しますので、ご確認ください。
固定費を減らして、ゆとりある生活を送れることを祈っています。