債券についてこんなことで悩んでいませんか。
- 債券は投資に必要?ポートフォリオに組み込んだ方がいいの?
- 株とどのくらいの比率で持つべき?
- そもそも債券の基礎知識が怪しい
本記事を読むことで、このようなお悩みを解決します。
具体的には以下が分かりますので、ぜひ最後までご覧ください。
- 債券の概要、株との関係
- 債券のメリット
- 株と債券の最適な保有割合
- 分配金(利息)を上げる方法
- おすすめの債券
Contents
債券のメリット
まず初めに本記事の結論、本記事の言いたいことである債券のメリットについて解説します。
- 利息(分配金)の効果が大きい
- 安定感が抜群である(暴落しにくい)
- 格付けという購入判断を助けてくれる評価指標がある
メリットの詳細やその他債券に関するトピックスは以下より深堀して解説していますので、ご興味のある方はこのまま読み進めて下さい。
そもそも債券とは?なんで株とバランスよく持つといいの?
そもそも債券とは何でしょうか。なぜ株とバランスよく持つことが世の中で推奨されているのでしょうか。
この点について整理しておくことで、投資との向き合い方もわかってくるようになると思います。
債券とは
債券というのは発行体(国や会社)が発行する借用書のようなもので、発行体が投資家に債券を買ってもらう形で金銭の授受が行われます。
発行体は債券を発行して受け取った金銭を運営資金としています。
発行体はその運営資金を使って稼いだお金を、投資家に利息込みで返金していくことで組織運営を維持しています。
投資家にとっては発行体が潰れなければ「元金+利息」が返ってくるので、『潰れない&利息が高い』国・会社というのが、投資する価値のある会社となります。
格付けとは
上記の通り債券とは借用書であり、投資家にとっては発行体が潰れなければ「元金+利息」が返ってくるという仕組みなので、発行体が潰れないかどうかがすごく重要なわけです。
そこで、発行体が潰れないかどうかを測る尺度として参考にしているのが、格付けです。
下記図はマネックス証券に掲載されている各格付け会社の基準です。
各会社独自の評価方法があるにせよ、どこも評価基準は似たようなものになっていて、BBB以上が”投資適格”それ以下は”投機的”格付けとなっています。
”投機的”というのは、「ギャンブル性の高い」と言い換えて良いです。
格付けの信憑性は?
株式会社ムーディーズという格付け会社が行っている格付けで、AAAを獲得している発行体が1990年から2015年の間に潰れているかどうか調べた結果があります。
AAAの評価の会社で潰れた会社はなんと0.00%でした。
そうです。潰れないのです。
リーマンショック時の大不況でさえ潰れませんでした。
もちろん今後はわからないですけど、これだけの長い期間潰れることはなかったのは十分参考にできる尺度ではないでしょうか。
債券投資の基本は、『潰れない&利息が高い国・会社へ投資』ですので、AAAの評価をもらっている国・会社を債券ポートフォリオには組み込みたいものです。
ちなみに米国債券ETFであるAGGは、AAAの格付けをもらっている優良債券が7割以上で構成されています。それで利息も2~3%程ありますので、発行体を調べるのが面倒、安定したポートフォリオを組みたいと思っている方は下記記事を参考にしてみて下さい。
債券の値動きは何に影響されるか
債券の値動きが「何に」「どうやって」影響されるかについても解説しておきます。
債券の値動きが何に影響されるかというと、主に金利です。
1万円借りたら、ちょっと多め(1万500円くらい)に返さなければいけないのは想像がつくと思いますが、この利息の割合というのが金利です。
日本であれば中央銀行、アメリカであればFRBが自国の金利を決める決定権を持っています。
そして面白いのが、金利と債券価格というのは逆の動きをするということです。
【金利と債券価格】
- 金利が上がる→誰もお金を借りたくない→債券の価格は下落します
- 金利が下がる→お得なうちにお金を借りて事業を大きくしたい→債券の価格は上昇します
金利が上がるということは、債券の利息が上がるということです。債券の利息が上がればお金を借りたい人は減ります。
つまり債券の需要が下がるため、金利が上がると債券の株価は低下します。
債券と株の関係
もう一歩踏み込んで解説すると、株価、債券、金利も連想ゲームのように動いていきます。
まずは株価と金利の関係です。
【株価と金利の関係】
- 株価が上がる→景気が良くなり金持ちが増える→金利が上がります(金利を上げてもお金を借りてくれる)
- 株価が下がる→景気が悪くなりお金の流通が減る→金利を下げます
先ほどの債券と金利の関係も合わせると以下のような関連性があります。
【株、債券、金利の関係】
- 株価が上がる→景気が良くなり金持ちが増える→金利が上がる→(お金持ちが増えるからお金を借りる人も増えるが)お金を借りたくない人が増える→債券の価格は下がる
- 株価が下がる→景気が悪くなりお金の流通が減る→金利が下がる→お得なうちにお金を借りて事業を大きくしたい→債券の価格は上がる
つまり、市場の株価と債券というのはシーソーの関係(逆相関)にあることが分かります。
つまり、株と債券をバランス良く持つことで安定する
これまで説明したことをまとめると、債券と株はシーソーのような関係(逆相関関係)になっているため、不況時にも好景気時にも株と債券をバランスよく持つことで、バランスのとれた資産運用ができるようになります。
基礎中の基礎ではありますが、まずはこれだけ覚えてもらえたら債券はOKです。
ポートフォリオの中での債券の役割
投資ポートフォリオの中での債券の役割が一体どういうものかというと、ボラティリティ変動率(値動き)が低いので、ポートフォリオを安定させてくれます。
そして値上がり益が少ない分、分配金(利息)がもらえます。
現金預金に近いけど、債券の方が利息が多くつくので、投資効果としても大きいです。
【値動き:債券ETFのAGG(青色)と株式のS&P500(オレンジ)と比較)】
【AGGの配当金推移】
暴落時の債券の値動き
例えば株式100%でアメリカの米国株式S&P500に投資したとします。
2008年のときリーマンショックで40%前後ぐらい下落しました。1000万円投資していたら資産が600万円近くに下がってしまいます。
-400万円と精神的に耐えられないくらい下がってしまってます。
一方、債券のETFで有名なAGGに100%投資した場合、同じように下がってはしまいますが、10%前後ぐらいのダウンで済んでいます。
1000万円投資していたら900万円は残る計算となります。
債券というのはちょっとやそっとのことでは動じず、非常に底堅い値動きをしてくれるっていうそういう安心のカードなんです。
よって債券は資産配分の中に組み込んでおくと、暴落時のクッションの役割を果たしてくれます。
動きがマイルドになります。
なので、若いうちは株式の割合を多く、高齢になるにつれ債券の割合を多くするというのは、理にかなっていると言えます。
平常時はやっぱり動きが少ないんで、若い方は刺激が足りないと思うかもしれません。
15年以上投資期間を確保できるのであれば株式多め、15年未満なら債券多めにポートフォリオを組むのが最適だと思います。
過去の長い歴史を振り返り、色々なパターンで10年単位で切り取ったりすると、だいたいどの時期も株式の方が債券よりパフォーマンスが良かったというデータもあります。
長期的に見たら長期で持てば持つほど、株式の方がリターンが良かったということです。
株と債券の最適なバランスは?
株と債券を持つ適切なバランスを考える際に1番重要視して頂きたいのがご自身の年齢です。
株と債券の性質を簡単にまとめると
- 債券:変動が少ないが価格は安定=リスク小
- 株:変動が大きいが成長を見込める=リスク大
ですので、高齢でリスクをとりすぎても資産を大きく減らす恐れがありますし、若いのにリスクをとらなければ資産が増えません。
そこでよく用いられる割合の目安が以下です。
- 債券の割合=年齢
- 株式の割合=100-年齢
昔からよく使われている割合目安ですがなかなか理にかなっており優秀です。
ただ現在は昔に比べ寿命が延びたこと(人生100年時代)、15年以上株式を保有できるのであればほぼほぼの確率でプラス収支が見込めることから、私は以下の割合で良いと思っています。
- 債券の割合=年齢-20
- 株式の割合=100-債券の割合=120-年齢
もちろん、運用期間の長短、貯蓄目的によって、この比率は変えるべきだと思います。
「子供の大学入学まであと10年しか運用できないから、債券の割合を高く設定しよう」のような考え方です。
株と債券の保有割合はあくまで参考としていただけたら幸いです。
毎月もらう分配金額(利息)を上げたいなら
債券購入により毎月もらえる分配金額(利息)を上げたいなら方法は2つあります。
- 長期債に投資する
- 格付けが低い債券に投資する
長期債に投資する
1つ目は長期債に投資することです。
国が発行する債券には1年債、3年債、10年債など複数の種類があるんですが、その期間引き出せない分、期間が長いほど基本利率は高くなります。
これはイメージがつきやすいと思います。
格付けが低い債券に投資する
2つ目は、格付けランクが低い(倒産のリスクが比較的高い)発行元が発行する債券に投資することです。
やはりリスクとリターンは表裏一体ですので、リスクが高い分利息も高くなります。
具体的には格付けがBB以下の”投機的格付け”の債券に投資することです。
アメリカの債券ETFを例に分類すると以下のような分類ができます。
- ローリスク・ローリターン:AGG(BBB以上、政府系債券多め)→利息目安「2~3%」
- ミドルリスク・ミドルリリターン:LQD(BBB以上、社債多め)→利息目安「3~4%」
- ハイリスク・ハイリターン:HYG、JNK(BB以下)→利息目安「4%以上」
上記のように格付けが低いところほど利率が高くなります。
というのも高い金利を払わないと借りてくれる投資家がいないということです。
債券とは言えハイリスクであるHYGやJNKばかりに投資していたら、会社が潰れ元本が返金されず損する可能性が大いにあります。
投資の目的と運用できる期間を考慮して、リスクとリターンのバランスを考えた投資を行いましょう。
おすすめの債券
最後に私が実際に購入しているおすすめの債券について紹介します。
これまでの債券の解説で取り上げてきましたが、アメリカの債券ETF(詰め合わせパック)であるAGG,LQDがおすすめです。
個々の会社ではなく、丸々詰め合わせた債券ETFの方がさらにリスクを少なくできますし、何より楽です。
詳細は以下記事でまとめていますが、メリットについて簡単に記載しておきます。
- 格付けAAAが7割以上で構成されている
- 利息(分配金)の効果が大きい
- 安定感が抜群である(暴落しにくい)
- これだけ分散投資してるのに経費率は0.05%
- 手数料の安いネット証券で簡単に始められる
まとめ
本記事では債券についてまとめました。
投資で必要な考え方であるリスクとリターン、守備か攻撃かについて、債券は主に守備の役割が強いです。
そのため、ご自身の年齢、投資目的、運用できる期間を考慮して債券を保有する比率を考えてみて下さい。
年齢が高齢であれば債券多め、投資目的が学費で極力減らしたくないなら債券多め、運用できる期間が短いのであれば債券多め、その逆なら株式多め。と、こんな感じです。